事故事例をもとに、その対策をご紹介します。

油・液体漏洩防止

油・液体漏洩事故について

危険物施設における液体漏洩事故の件数は年間400件近くにものぼり、その原因は人為的ミス、設備・備品の劣化、破裂、設計不良などさまざまです。
一度事故が起きると多額の損害賠償や強制処分を負う可能性があり、さらには信用の失墜にもつながりかねません。このようなリスクを最小限に抑えるためには、
3つの対策〈(1)施設内で想定される漏洩について知る、(2)必要なアイテムと選定方法を知る、(3)対応手順を知る〉が必要不可欠で、日ごろの準備が事故発生時に効果を発揮します。

発生事例①ドラム缶の液体危険物が10L流出し、回収に困難を極めた

液体危険物が収納されたドラム缶をフォークリフトで移送中、操縦者の確認不足が原因でフォークリフトのツメによってドラム缶を損傷させ、液体危険物が約10L流出した。
また、液体漏洩時の準備が不十分であったため、回収方法がわからずに時間を要してしまった。

対 策取り扱う液体に合わせた、
液体漏洩対策の準備をする

事例のような、液体危険物の漏洩の場合、吸収材の選定を誤ると化学反応によって発煙や発火などを起こし、二次被害につながる可能性があります。
取り扱う液体の種類と、それに対応するアイテムを選定することは、二次被害を防止するだけでなく、漏洩した際の対応時間にも関わってきます。
液体回収に必要な吸収材がセットになっているキットなどを常備しておくと、迅速に対応することができるので、取り扱う液体に対応していること、液体の吸収量、安心できる品質であることをチェックし、万が一に備えると良いでしょう。

発生事例①重機の作動油が河川に流出し、
河川を汚染させた

建設現場で重機を使った作業中、作業前の確認では異常がなかった油圧ホースから作動油が漏れ出してしまった。河川の近くでの作業であったため、漏れた作動油が地面を伝い河川に漏洩。ただちに監理技術者に連絡を入れたが、現場では適切な初期対応をしていなかったため、回収に時間を要してしまった。

対 策緊急の液体漏洩対策として、
油専用吸収剤を常備する

油が河川に流出してしまった場合、水質汚濁防止法、河川法により漏油事故を起こした事業者には罰則が定めらています。
漏洩した油は瞬く間に広がってしまうため、漏油事故が発生した際は早急な対応が必要です。漏油発生時には、オイルフェンスなどで拡大を防ぎ、油吸着材を使用して油のみを回収しますが、オイルフェンスなどは比較的大きく携帯性が悪いので、準備が難しい場合にすぐに取り出せる、液体漏洩対策キットを備えておくことが推奨されます。
取り扱う重機や機械から漏洩する恐れのある油の量を予測しておき、携帯可能な液体漏洩対策キットを準備しておくことで、漏洩時の初期対応に役立ちます。